今年も残すところ今日一日となりました。
過ぎた日を振り返ると早いものですよね。 いつも頭の中をドラムのことが駆け巡っているせいか、しばしば新しいことをみつけます。 「なぜ、いまひとつ機能していなかったのか」 とか、 「こうすれば高い効果がえられる」 など、主に演奏の方法であったり練習の方法であったりします。 ドラムに向かっているとなおさら見つかります。 その発見の中でも2018年最大のものは実はパラディドルでした。 一般の方には馴染みは薄いと思われますが、ドラムをテクニカルに修めようとする人にはパラディドルは必須すぎるものです。 足早にご説明しますと、 パラ…RLまたはLR ディドル…RRまたはLL の組み合わせで成り立つ手順のことです。 基本のシングル・パラディドルでは RLRR 反転して、 LRLL の手順になります。 RLRRLRLLのようにつなげてやります。 たいてい反転させたカタチを往復でやります。 “たいてい”と言いますのは、 RLRR のあとに LRRL のように変化したカタチをつなげる方法もよく知られる有効な方法だからです。 ダブルパラディドル: RLRLRR(LRLRLL) トリプルパラディドル: RLRLRLRR(LRLRLRLL) このあたりは必須中の必須なのですが、 「どう使うのか」 という疑問にも遭遇します。 8ビートや16ビートの曲でこれを駆使することはほとんどありませんので、まあ疑問は当然です。 マーチング・バンドならこの種のものが演奏の根幹になります。 ジャズドラミングでも占めるウエイトは大きい。 普通の歌ものやロックをプレイしたいとなると優先度は下がります。 優先度が高いのはリズムパターンの練習ですね。 優先度が低いものは後まわしになる。 ただドラムの上達や楽しさを味わうということは、 『直接的ではない、リズム感を養うことであったりコントロールやスピートを高めたりすることにある』 ということに気づけば、優先度は上がると思います。 まあ、ある程度曲を叩きこなせるようになってからで大丈夫なことです。 そのパラディドル。 先日見た教則本の中にこのようなものがありました。 “Paradiddle For 4 Quarter Notes” 手順はこうです。 RLRL,RLRL,RLRL,RLRR(LRLR,LRLR,LRLR,LRLL) わかりやすくするために4つずつ区切りました。 というのも16分音符で譜面は書かれています。 このForはどうやら範囲を示す使われ方をしているようで、 “4つ分の4分音符の間のパラディドル” という意味のようです。 手順はそのようになっています。 これ、やってみると意外と流れません。 自慢じゃありませんが、この手の手順の練習を相当やってきましたので叩けないものはないと自負する私です。 が、これは… まあコツをつかむとそれほどではないんですけどね。 ただやはりパラディドル。 シングルストロークのみ、ダブルストロークのみと比べると速さを出せません。 手順のほとんどがシングルストロークだというのに。 そこでひらめきました。 RLRL,RLRL,RLRL,RR(LRLR,LRLR,LRLR,LL) “パラ”をひとつ減らしてやってみる。 7連符でやらないかぎり、あまりを出さないためには7拍子になります。 4分の7拍子で16分音符でやると RLRL,RLRL,RLRL,RRLR,LRLR,LRLR,LRLL になります。 叩いてみます。 これマジで流れないんだけど? …なんてことだ。 ついでにもうひとつ減らして RLRL,RLRL,RLRR,LRLR,LRLR,LRLL 4分の6拍子です。 奇数ちゃうしこれはね。 …あかん、カンが働かない。 RLRL,RLRL,RRLR,LRLR,LRLL さらにもう一つ減らして4分の5拍子。 これはもう新しい体験。 でもう一つ減らすと、 なんということでしょう。 トリプルパラディドルです。 先ほど出てきましたね。 きれいにつながりました。 またこの展開でやるとトリプルパラディドルが今までと違う。 新鮮です。 正直トリプルパラディドルってそんなに腰入れてやる感じではなかったですが、こうやってみると長いパラディドルの基本になっていてものすごく大事です。 なんてことだ。 こんなことに気付かなかったなんて。 この練習を積むとリバウンドのコントロールがうまくなります。 シングルストロークをダブルストロークのようにリバウンドでコントロールしないと流れないので必然的に身体が覚えるんですね。 ということは速く、軽く、正確に叩けるわけです。 素晴らしい。 コンパウンドスティッキングスがパラディドルの最終形態だと信じてきた私にとっては衝撃的すぎました。 ※コンパウンドスティッキングスについては動画で解説しております。動画日記をご参照ください。 コンパウンドではどちらかというとダブルストロークが支配的になります。 あとフレーズとしては短いものが中心。 アルファベットと数字で手順をあらわすコンパウンドスティッキングスのシステムでは長いシングルストロークが続くようなフレーズは扱いにくいわけです。 コンパウンドスティッキングスでこれらのパラディドルに呼び名は付けられますが、それはただ物事をわかりにくくするだけ。 あくまでパラディドルはパラディドル。 このふたつは言うなれば車輪の両輪。 パラディドルとして扱うのが妥当です。 で、これらを一括りに名付けました。 “X - Paradiddle” エックス・パラディドル。 方程式で未知数を表す”X” カッコよく決まりました。 いやーわれながら良いネーミング。 ぜひ皆さんの練習に役立ててください。 さあ2019年もドラムでハッピーになりましょう! 追記: 本文にある教則本は『プレイ・ザ・ジャズ・ドラム』小林陽一著です。 ジャズドラムの基本について丁寧に書かれる良著だと思います。 ご参考になさってください。
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