いつか書きたいと思っていたトピックスの中でずっと先のばしになって来たものがあります。
それは左利きドラマーについてのこと。 演奏への影響などについて。 私自身が左利きなので、私にとってドラムに取り組むということはこのテーマと向き合うことでもあり続けてきました。 そもそも左利きについて、今も科学的にわからないことが多いようです。 ・人口のおよそ1割に左利きの人が出現するらしい。 ・後天的なものではない。 はっきりわかっているのはこのふたつぐらいの様子。 昔は突然変異と思われていたらしく、今も偏見は残っていると思われます。 左利きを”矯正する”とかいいますしね。 辞書によると、矯正とは『欠点・悪習などを正常な状態に直すこと』 だそうです。 左利きの人が右手で字を書いたり箸を使ったりすることを”左利きを直す”というふうに言うのもまあ一般的ですよね。 ですが落ち着いて考えると利き手というものは直すような類いのものではないと思いますがいかがでしょうか。 『右手を使えるようにする』 『右手で出来るようにする』 というあたりが実態をあらわす良い言い方なのではないかと思います。 日常生活の中で右手で出来るようにしておく利便性は確かにあるんですよね。 世の中のほとんどの物が右利きの人向けに設計されています。 右利きの人向けにデザインされたものを左手で使うのは果てしなく不便です。 でも右手で扱えるようになったからといって、その人の利き手が変わるわけではないんです。 利き手というのはその人に備わっているもの。 脳と身体がそう出来ているということだからです。 レッスン中に「左利きなのかな?」と感じさせる身体の動きに出会うことがあります。 で聞いてみるとその通りだということもあれば、 「いや違いますよ」 という返事が返ってくることもあります。 初めのうちは意外でしたが、小さい頃から右手が器用に使えた左利きの人の中には自分が左利きだという認識がない人がいるということが徐々にわかってきました。 バランス型の人だと言えると思います。 どうもひとくちに左利きと言っても程度というか、濃い薄いというか、割り合いというか...があるようです。 例えば右と左で6:4とか。 科学的根拠のない話ですが、おそらく世の中全体の8割の人は右と左で8:2か、7:3かぐらいの割合の右利きだと思います。 いわゆる普通の右利きですね。 これが先ほどの人ですと4.5:5.5とかいうくらいの割合で左利きなのではないかと思うのです。 なので日常生活では支障なくどちらかの手が必要な時は自然と右手をつかって生活出来る。 で、ドラムを叩いた時にどちらの脳をメインに使っているかが現れたわけです。 ドラムはその人の本来の利き手が現れると言い切れます。 リズムを打ち出す手は利き手でないと様々な不都合を生じるからです。 リズムを打ち出すと言うのは主にハイハットやライドでやる”刻み”を打つことです。 非利き手で刻みを打つと、演奏しながらリズムの空間をつかむのが大変難しいです。 また非利き手はスピードが出ませんのでフィルインを打つ時などにそちらから交互に打つとガクガクした感じになって不自然になりやすいです。 また非利き手側には体重が乗りにくいのでバスドラがうまく踏めません。 練習で腕や足の動きを練習しても、これらはなかなか改善しにくいのです。 改善したように見えても、意図しない時に音が抜けたりタイミングがずれたり、つらいことが起こります。 10年くらい練習すればだいぶ変わりますが... なので左利きの方は左右逆にセットアップしてやりましょう。 海外のドラマーには結構多いです。 日本の著名ドラマーにも数名おられます。 自然に叩けたほうがハッピーだと思います。 どちらでも行けそう...という場合でもあとあと伸び悩むことがあります。 とは言ってもどうしてもそうはしたくないと言う場合。 左セットに組み直すと言うと、対バンライブの出番は必ず最初か最後にされると言う話もあります。 かなり身につまされる話です。 どうかと思いますよね。 スタジオに行っても常に逆にセットし直すのは相当エネルギーがいります。 気がめげます。 環境的な理由で右セットで叩きたい。 気持ちはわかります。 ですので。 そうした方には左利きの人が右セットを叩くための身体の使い方や練習方法をレッスンします。 苦労した経験上、右利きの人がレッスンするのとは違った角度からアドバイス出来ることがあると思います。 でも。 速成する方法はありません。 自然に叩くためには血の滲むような練習が必要です。
1 コメント
許田信一
2/1/2024 12:54:49 pm
こんにちは。14歳からレフティでドラムを始め、40年続けて来ました。ライブセッションイベントに出る関係で右セッティング(オープンハンド)で叩く様になっています。人から聞くと違和感は無いそうです。ですが自分自身では違和感は有ります。ハットのオープン・クローズが出来ません。ズチャーチャーチャーです。右のバスドラもぎこちないです。自分では体幹のトレーニングと割り切って、叩いてます自身のバンドライブでは、レフティセッティングで存分に叩いてます。
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