卒業シーズンですね。
別れと出会いの季節。 今年度卒業のみなさんおめでとうございます。 一区切りですね。 自分が学生の頃は思い至りませんでしたがみなさんは見守られて生きています。 どうぞそれぞれの立場でベストを尽くして頑張ってください。 保護者の皆様おめでとうございます。 新しい生活がより充実したものになりますように。 苗木を植えたとしてもすぐに果実を味わうことはできません。 何年も育てなければ収穫できない。 人が育つ時間的な感覚は木に似ている気がします。 年の単位での時間。 言葉を話せるようになるのにおよそ2〜3年。 学校に通い出すまで6年。 10年たっても成人まではあと10年。 過ぎてしまえばあっと言うまでも10年先を見通すことはなかなか難しいです。 「わしはな、30年先の事を考えて今レッスンしてるんや。」 亡き師、河瀬勝彦が初対面の私に語った話です。 「絶対ドラムやっといて良かったと思える日が来る。わしがそうやったから」 時間的なスケールの大きさに圧倒されました。 20歳ごろのことです。 それまで人生の単位でドラムや音楽というものを考えた事がありませんでしたので。 師のレッスンはグループレッスンで来る週も来る週も基礎。 徹底した反復で土台を築く。 かつ複雑なリズムもルーティンの中に次々追加されます。 わからないことは隣に座っているベテランの人に聞いたり。 一曲叩けるように…とか基本的にそんな雰囲気ではありません。 かなりストイック。 なのでドロップアウトした人もそれなりにいます。 自分で工夫しなければ情けない思いをしてそれが続くと脱落します。 書いていて思い出したのですが人によってはのんびりやっていましたね、そう言えば。 … 当時のガツガツした私にふさわしいものを投げかけてくれていたんですね。 人を見る目がズバ抜けた師匠でした。 受け取る側の状況を考えて教える。 あとよく生徒を笑わせていました。 自分で工夫したことが本当の自分のものになる。 楽器の演奏はまず「楽しい」「やりたい」から入って上達したい気持ちにつなげる。 上達を見据えた練習は根くらべになるので本人が望まない場合、うまくいかなかったり後に禍根を残すことになりかねない。 そんなことを書こうとして脱線しました。 種を蒔いて。 芽が出て。 花が咲いて。 実になる。 花を付けるのも、実がなるのも元は種だったその植物自身。 引っ張って伸ばすわけにはいきません。 あるいはその人の中に苗木を植えるようなこと。 いずれにしても時間が必要です。 時期が来たら伸びる。 それを信じて。
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